毒にも似た歌詞の鮮烈 /スガシカオ

本音と建前なんて言うけれど、

「思ってても言っちゃいけないでしょ、それ」な本音を

グロテスクではなく爽快に表現するのがスガシカオの魅力。

 

最新アルバム「THE LAST」に収められている

「あなたひとりだけ幸せになることは許されないのよ」は

タイトルからしてもう、その真髄がだだ漏れている。

 

誰もが経験のある後ろ暗い欲望や感情。

持っていない振りをしたくなる、そんなカタマリたちを、

何でもないことのように彼は歌う。

 

自分だけではないということの救い、などと言うと陳腐だけれど、

真っ白にキレイで真っ当な人間じゃないのは、何も自分だけじゃないのだと、

どこか許されたような気持ちになる。

 

そうした影の部分を鮮やかに切り取ってみせる一方で、

NHK「プロフェッショナル」のテーマ曲である「Progress」のような

メッセージソングを書き上げるという才能の振れ幅もまた、

スガシカオにハマる一因だったりするのだ。

 

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「アルバム視聴会」と題されたライブから約1年が経ったけれど、

耳を傾けるたびに、何度でも視聴会のときの衝撃を思い出す。

デビュー20周年を迎えてなお、エッジの効いた彼の最新作です。